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2021年 12月7日
名湯維持 経営者の工夫に迫る

北海道「ぬるくない! 温泉の光と影」

 北海道南西部の倶知安町、ニセコ町、蘭越町などで構成されるニセコ地域は道内有数の温泉地帯。蘭越町で日帰り温泉「黄金温泉」を営む農家の林賢治さん(53)の大型トラックには「熱い温泉お届けします」の文字が書かれている。林さんは今冬にも「温泉配達サービス」を始める考えだ。

 ニセコ地域の観光開発は地域最大のスキー場の近くに広がる倶知安町「ひらふ地区」を中心に進む。道による地区での温泉掘削許可は今年度に過去最多を更新。新たな温泉施設が開業を目指す。一方、蘭越町をはじめ他の地域では施設の閉鎖が相次ぐ。倶知安支局の高橋祐二記者がこうした地域で苦心する施設経営者らに取材。名湯を維持するための工夫に焦点を当てた。11月16日付から全3回。

 黄金温泉は林さんの父が2002年に開業。地元客らから親しまれてきた。国道から3㌔離れたところにあり、入浴料は500円。新型コロナウイルス禍などが重なり、一時は廃業も検討された。運営を引き継いだ林さんが昨年、温泉水の配達事業に向け4千リットルを運べるタンクを新造。近隣の別荘や宿泊施設の需要を見込み、1300万円を投じた。

 高橋記者は経営者の奮闘を読者に伝えることで「苦境にある施設を応援したい」との思いがあったと説明。連載では、バス3台で道南や道央の客を無料送迎し、広域の団体需要に対応する蘭越町営の温泉宿泊施設の取り組みも紹介した。

 活況を呈すひらふ地区で開発の「副作用」とみられる状況があることも報じた。道の調査では地区中心部の源泉の水位は16~19年に10メートル以上低下。道は今年9月、温泉の枯渇を懸念し地区中心部の新規掘削を原則禁じた。高橋記者は「観光開発が生む経済効果と環境保護をどう両立するか」が今後の報道の焦点になると話した。(遼)

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