2022年 2月8日
ジェンダー 身近な話題端緒に

山梨日日「とらわれない 性差を超えて@山梨」

 山梨県立甲府南高は2021年度、女子の制服にスラックスを取り入れた。ある1年の女子生徒は自転車で下校する途中、他校の男子高校生が「なんで女子がスラックスをはいているの」と驚く声を聞いた。スラックスを選ぶのは自転車をこぎやすいから。特別な感覚はない。「女子がはいたらだめなの?」。女子生徒は心の中でつぶやいた。

 甲州市は昨年12月、性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ制度」を導入。県内で「男らしさ」や「女らしさ」に縛られない生き方に向けた取り組みが広がる。報道部などの記者4人が1月1日付から全5回で教育現場での実践などを報じた。

 報道部の宇賀神将樹記者はジェンダーを巡る課題についてLGBTQなどの当事者だけでなく誰もに関わると指摘。それにもかかわらず「気軽に議論できないテーマ」として敬遠されがちだと感じていたという。身近な話題と捉えてもらいやすくする狙いで高校生の制服に焦点を当てた。

 宇賀神氏が甲府南高でスラックスを選ぶ女子生徒に理由を尋ねると「スカートが好きじゃない」「ボーイッシュな格好が好き」などの答えが返ってきた。県立高28校のうち、女子の制服にスラックスを認めるのは17校。宇賀神氏は「自分らしく通える学校が増え、世間の理解も進んでほしい」と訴える生徒の声を伝えた。

 読者からは「スラックスに驚いた男子高校生に悪気はないだろう」との感想も寄せられた。「女子の制服はスカートであるはずだとの固定観念は根強い」と宇賀神氏。ある生徒は取材に「自分に合う制服を性別に関係なく選べるのが理想」と話した。宇賀神氏は、誰もが自分らしく生きられる社会を実現するためにはこうした「当事者の考えを発信することが重要だ」とみている。(遼)

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