2022年 12月20日
都市部に移り住む人々の思い

四国「変わる香川2022アフターコロナ」10月30日~11月9日(全6回)

 「買い物も病院も歩いて行けて便利」。高松市の50代女性は市内の分譲マンションに入居を決めた。香川県さぬき市で一戸建て住宅に住んでいたものの、親の看病で高松市の病院に通った経験から利便性の高い同市中心部での生活を希望するようになった。2年ほど前に市内に移り住み、分譲マンションを探していた。「いずれは車を持たない生活も考えています」。女性は「街中生活」に期待を膨らませている。

 10階建て以上の高層分譲マンションの建設が高松市中心部で相次いでいる。2016~21年に15件、計約880戸が完工。高松市初となる1億円以上の物件も建設している。「人口規模を考えれば供給過剰である」と指摘する専門家もいる。こうした中、報道部の八塚正太記者が分譲マンションのモデルルーム前で来場者一人一人に取材。建設が続く背景にある、郊外から移住を検討する人々の思いを聞いた。

 購入者の多くは高齢者と共働きの子育て世代。八塚記者によると、モデルルーム前で取材に応じた見学者の全員が「都市部の利便性に引かれた」と話したという。八塚記者は運転中の事故や公立病院の統廃合への懸念から「徒歩圏内で生活できる『終(つい)の棲家(すみか)』として高層マンションを選ぶ高齢者が多い」と説明する。

 連載では、高層マンションの最上階を購入した60代男性の事例も紹介。男性は利便性より「良い場所を選ぶことで得られる『プレミア』が欲しかった」と理由を語った。八塚記者は「上層階に住むことで『優越感』を得たいと思う人が県内に一定数いることに気づいた」と振り返る。

 完成して入居者を受け入れた後も販売を続けるマンションがあることも紹介。その上で「供給過多の懸念もあるが、地元住民は街の活性化を望んでいる」とみる。新型コロナウイルス禍により在宅勤務が広がる中、相次ぐマンションの建設を「県外から移住する人を増やす契機にすることも重要だ」と指摘する。(阿)

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