2023年 4月25日
格差是正へ 地域の奮闘発信

神戸「ジェンダーレンズでのぞいてみたら」 3月8~17日(全8回)

 兵庫県豊岡市福田区の杉山隆一区長はジェンダーギャップに関する地域の現状や課題をまとめた市の広報誌を読んだ。脳裏によみがえったのは区の運動会の際、ある女性が漏らした「運動会で接待するのがしんどい」との言葉。男性がビールを飲んでくつろぐ傍ら、女性は競技以外の時間も食事の準備に追われる。「『しんどい』とこぼす母親を見て育った女の子が(Uターンなどで)地元に戻ってくるだろうか」――。杉山区長はそう思った。

 広報誌を発行する豊岡市は地域での性別の違いによる格差を無くす取り組みに力を入れている。こうした取り組みが企業や地域に波及していく様子を経済部の石川翠記者が伝えた。

 杉山区長の発案により区の自治会組織は「事業見直し特別委員会」を設置。特別委は「意思決定の場に女性も」の目標を掲げた。婦人部の在り方を見直す意義を説く文書には「区の運営はオッサン達が、オッサン達に都合よく、やりやすいよう仕組みが作られた」とつづり、女性や若者の意見が取り入れられてこなかったと問題提起した。

 不平等を指摘することに注力した一方、こうした報道だけに比重を置くと「古い価値観の中で育った人々の人生を否定しかねない」とも考えたと石川記者。意見と行動の変化の過程を丁寧に説明し「男女平等を目指すことについて前向きに捉えてもらえるように心掛けた」と振り返る。

 地域活動への女性の参加などをテーマにした市主催の住民向け出前講座の様子も報じた。「ジェンダー」の言葉を初めて耳にする人や、男女平等について「考えたことがない」と話す人の声を伝えた。石川記者は、言葉や概念について分からなくても勉強会に足を運ぶ高齢男性らの姿勢から「少しずつ地域の理解が深まっていることが分かる」と指摘した。(阿)

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