2023年 9月12日
タブー視せず課題伝える

河北「みんなの生理白書」 7月9~17日(全6回)

 生活文化部の柏葉竜記者は生理痛を疑似体験できる装置がある奈良市の奈良女子大を訪ねた。電流が流れるシートを腹に貼り、「最大強度の80%」の痛みを体験しながら取材できるか試した。話を聞いても耳に入らず、ノートにメモすることもできなかった。最大強度に引き上げると、ただ耐え、立ち尽くすことしかできなかったという。

 「生理中、いつもつらそうにしている妻の気持ちを知りたい」との思いがきっかけだった。柏葉記者は同部の菊池春子記者、高橋杜子記者とともに生理が起きる仕組みや企業の生理休暇制度、性教育などについて医者や社会保険労務士らに取材した。生理を巡る職場での課題などを伝えた。

 「みんなの」とのタイトルに合うよう、無料通信アプリ「ライン」を通じた読者アンケートの結果も毎回盛り込んだ。柏葉記者が生理痛を疑似体験した様子を捉えた動画は電子版や動画投稿サイトでも配信した。

 経済的な理由で生理用品を買い控える「生理の貧困」についても報じた。山形市の女子大生(20)は大学に入学してすぐに飲食店でアルバイトを始めたものの、1か月でやめた。生理中の吐き気がひどかった。収入が途絶え、生理用ナプキンの代わりに何重にも折りたたんだペーパータオルを使った時期があった。

 連載はこうした女性向けにナプキンを無償で配布する東北芸術工科大(山形市)の学生団体の活動も取り上げた。メンバーは男女計13人。柏葉記者は「男女が共に考え、タブー視せずに行動できる時代になったと感じた」と話す。メンバーの一人・石川諒さん(20)の「生理用品は女性に欠かせないもの。公的な支援があっていい」との声を紹介した。

 ラインのアンケートには、男性の回答者から「職場の部下にどのように配慮したらいいか戸惑う」「質問するのは気後れする」などの声が寄せられた。柏葉記者は「家庭や職場で打ち明けづらい本音を伝えることができた」と振り返る。(阿)

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