2023年 11月28日
にぎわい戻る名所の課題

岐阜「変わる飛騨高山 アフターコロナの観光」 10月30日~11月3日(全5回)

 岐阜県でイベント業などを手掛ける飛騨・高山観光コンベンション協会(高山市)には「乗馬や伝統工芸が体験できる場所はないか」と海外から連日問い合わせがあるという。市によると2019年に国内外から合わせて473万人を超えていた観光客は、新型コロナウイルス禍で激減。その後、外国人観光客の増加などで今年8月までにコロナ禍以前の8割以上にまで回復した。観光客に人気の古い町並みはにぎわいを取り戻しつつある。

 ひだ高山総局の安井真由子記者が取材。観光客の需要や受け入れる上での課題を探った。

 連載は訪日客の間で買い物への支出が減り、登山や温泉などの「体験」の支出が増えたとする観光庁の調査を紹介した。「オンラインではできない『体験』を求める人が増えた」と安井記者。コロナ禍でのオンラインツアーへの参加を経て、市を実際に訪れた観光客にも取材した。

 観光客の増加に対応するため、JR高山駅周辺でホテルの建設が相次ぐ実態もある。課題は観光業の担い手不足。安井記者は高山労働基準監督署が10月に発表した調査結果を連載で取り上げた。高山市を含む飛騨地域の宿泊施設の2割以上で職員の「過労死ライン」を上回る月100時間以上の時間外・休日労働が確認されたと報じた。

 「観光従事者の確保が急務だ」と安井記者。県外から働き手としての移住者が増えるよう行政が施策を講じたり、県内の各地域が連携したりする必要があると話す。

 観光客が食事場所を探して町をさまよう「夕食難民」と呼ばれる事態が起きていることも伝えた。安井記者は観光客が町の中心部に集中せず、郊外に分散する環境を整えられれば「観光業の課題について地域全体で考える気運にもつながる」と話す。今後は郊外のスキー場などで観光業を始めた人々を取材し「新たな観光スポットを積極的に発信したい」と意気込む。(阿)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

ニュース&トピックス

ニュース&トピックス

ページの先頭へ