2023年 12月12日
食材高騰 献立作りの葛藤

神奈川「『食』の現場 記者が行く 学校給食はいま」 11月16~17日(全2回)

 相模原市立相模台小で管理栄養士を務める金子愛さんの手元には、食材の昨年度上半期と今年度上半期の平均価格を比べたメモがある。「卵(1キロ)319円(2022年度)→443円(23年度)」――。同市立小の給食は1食270円以内に収める必要があるという。学校給食法により、1食に必要な栄養素の摂取基準も決まっている。食材費が値上がりする中で、金子さんは「献立作りに頭を悩ませている」と話す。

 松島佳子相模原支局長は、自宅で十分に食事を取らせることができない家庭もある中で「給食は子供の健康と成長を支えるインフラ」だと強調する。物価高騰による給食への影響や現場担当者の工夫などに焦点を当てた。給食を安定的に提供できる方策について、読者に考えてほしかったという。

 魚の竜田揚げを塩焼きに変更することで油の使用量を抑えるなど、限られた予算で献立を工夫する金子さんの様子を伝えた。子供に給食を満足して食べてほしいとの思いと、予算との間で試行錯誤する金子さんの「葛藤」を伝えたかったと振り返る。

 市内4農家でつくる任意団体などが給食に地場野菜を提供する事業も取材した。地元の食材を通じ、子供に農業への興味を持ってほしいと考える団体代表の思いを取り上げた。農家の高齢化や新規就農者の減少を踏まえると「農業を営む土壌が将来にわたって保証されているわけではない」と松島氏。給食を切り口に、農業の持続可能な在り方を提起することも意識したという。

 物価高騰が収束する兆しの見えない中、「食材費の値上がりはどの地域にとっても共通の課題だ」と指摘する。その上で、自治体間で給食に充てる予算に差があるのも実情だと述べた。連載を通じ「政府による給食の無償化など、より大きな議論につなげたかった」と語った。(直)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

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