2023年 12月26日
身近で起きた死の背景探る

中日「ワグレの死 あるネパール人留学生」 12月1日~(継続中)

 ネパール人留学生ワグレ・ナバラズさんは2022年12月10日、名古屋市内のマンションで亡くなった。日本に来て7か月余り。27歳だった。日本語学校に通いながら、ハンバーガー店でアルバイトする生活を送っていた。国内在住のネパール人コミュニティーに伝わった死の要因は「高血圧」。しかし、ワグレさんの弟は持病や病気の前兆などなかったとみている。

 社会部の斎藤雄介記者は死の背景を探るため、ワグレさんの弟や在日ネパール人関連団体の役員らを取材。生前の生活環境に迫るとともに、ネパール人の若者の死が相次いでいる問題などにも焦点を当てた。

 在日ネパール人留学生協会会長(取材当時)だったラナ・アザヤさんは、22年に日本国内で少なくとも二十数人のネパール人が病死や自殺などで亡くなったと斎藤氏に告げた。多くが留学生ら20代の若者。ラナさんは死の背景に、慣れない環境や生活費などを十分に稼げる職に就けないことによる「ストレス」があると分析していた。

 ただ、ワグレさんの弟は日本人について「文化を知らない留学生にも辛抱強く教えてくれる」と説明。その上で、兄の死の理由を「分からない」と話した。

 斎藤氏はこうした声に加え、ワグレさんが亡くなる2か月前にネパール最大の祭り「ダサイン」を日本で祝ったことも連載で報じた。「4年ぶりに一緒に過ごせてうれしい」。先に故郷を離れた弟にワグレさんが掛けたという言葉を紹介した。在日ネパール人との接点が少ない読者にも、その死が「身近に起きた出来事だと知ってほしい」と考えたという。

 連載は読者に関心を持ってもらいやすくする狙いで一人称のルポ形式とした。ワグレさんの葬儀会場でラナさんと出会ったことなど、取材の過程を読者が追体験できるよう心掛けた。斎藤氏はネパールを訪れるなどして取材を続けている。(遼)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

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