2025年 6月10日
誰も取り残さない学びの場

中日北陸 「みんなの夜間中学 それでも学びたい」 4月6~8日(全3回)

 北陸初の公立夜間中学「石川県立あすなろ中学校」(金沢市)が4月7日、開校した。県内の10~70代の生徒計22人が入学。平日午後5時55分~9時、習熟度別で3コースに分かれるなどし、4限分の授業を受ける。全課程を修了すると中学校の卒業資格が得られる。外国人向けコースや、4月以降も随時入学できる制度を取り入れるなど、多様な学びのニーズに応えられる体制を整える。

 入社5年目の報道部・柴田一樹記者が取材した。不登校などの教育問題に以前から関心があったという。夜間中学については高齢者が通うイメージを持っていたが、学生時代に読んだ記事で「自分と同世代で不登校を経験した人や外国人なども一緒に学ぶ姿に驚いた」。取材は入社前からの目標だった。

 中学2年で不登校となった女性(39)は、再び看護の道を志し入学した。一度は夢を諦めたが、「勉強って何歳からでもしたかったらすればいいんかな」との思いを語った。「夜間中学に通う生徒の学びに対する意欲は強い」と柴田氏。満足に味わえなかった学生生活を取り戻す上でも、大切な役割を果たすと考える。

 民間有志による生徒への学習支援活動にも着目した。仕事や通院で週5日通学が難しいなど「夜間中学からこぼれ落ちる人もいる」と知った。その受け皿として、民間の取り組みが重要になると捉えた。金沢市内の寺で毎週、不登校や高校中退などの事情を抱える小中高生らに勉強を無償で教える元教員らを取材した。官民両輪で学びの場を提供する重要性を伝えた。

 誰一人取り残されない教育を実現する上で、夜間中学は「教育分野のセーフティーネット」だと柴田氏は強調する。不登校の児童・生徒数が増加の一途をたどる中、今後も開校後の授業内容などを報じ、気軽に学び直しができるきっかけにつなげたいと話した。(直)

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