2025年 8月5日
教育現場の変化に焦点

熊本日日「TSMCインパクト」第5部「育つ育てる 国際化と半導体シフト」6月21~24日(全4回)

 台湾の半導体大手・台湾積体電路製造(TSMC)の第1工場が2024年末、熊本県菊陽町で本格稼働した。熊本日日は25年元日付号から、日本初進出となったTSMCが地元に与える影響を追う。第5弾では教育現場の変化に焦点を当てた。地域報道本部社会担当教育班の上野史央里記者が中心となり、6人体制で取材した。

 初回は、多くの台湾出身児童・生徒を受け入れる熊本市内のインターナショナルスクールを訪れた。子供たちが出身を問わず、国際交流を楽しむ姿を描いた。TSMCの進出を契機に「多様な背景を持つ子供たちの相互理解や共生が進んでいることを伝えたかった」と上野記者。

 地元での半導体教育の体制整備についても詳報した。半導体に関する学習過程を今春設けた二つの高校を訪問した。生徒が語る自身の将来像や、新分野の指導に熱を注ぐ教員らの思いを取り上げた。関連企業と連携しながら、指導法を模索している現状も併せて伝えた。

 熊本大は昨春、工学部に半導体デバイス工学課程を新設した。上野記者は同課程の授業を取材した際、集団討論で次々と意見が飛び交う様子に圧倒されたと話す。志望者の注目度も高く、今年度競争倍率も跳ね上がった。半導体教育への関心や需要は幅広い年代で高まっていると強調する。

 社会人向けに、半導体に関する授業や研修を提供する大学・企業の取り組みも紹介。熊本では専門人材の育成に向けた取り組みが活発化している。TSMCがもたらした教育現場の変化により、子供のみならず大人にも半導体教育を受ける門戸が開かれたことを伝えたかったという。

 上野記者は「教育現場の過渡期を記録できた点で、有意義な取材ができた」と振り返る。今後は台湾出身の子供の暮らしや、受け入れに関する行政の対応について深掘りしたいと意気込む。

(丈)

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