2025年 10月14日
音楽のまち 規制の在り方探る

神奈川「路上ライブはいま 川崎駅前登録制を問う」 8月1~3日(全3回)

 都内をはじめ路上ライブの規制が強まる昨今、自由に演奏できる場を求めて川崎駅の東口駅前広場(川崎市)を選ぶアーティストは多い。過去には人気音楽バンド「マカロニえんぴつ」も演奏したこの広場の利用を巡り、市は8月1日から試験的に登録制を導入した。登録者には、演奏場所や時間、音量等のルール順守が求められる。「音楽のまち」を掲げる同市での路上ライブを巡る規制の在り方を探った。

 制度試行の背景には、アンプやドラムの騒音、通行の妨げに関する通報の増加があるという。統合編集局即応チーム兼川崎支局の荻野功輝記者は、広場での演奏が難しくなれば、駅前に集うアーティストやファンが減り「音楽文化が損なわれることにつながる」との問題意識を持ったと話す。地域振興の衰退にもなると考えた。

 制度試行前の7月、男性ミュージシャンが広場で開いたライブを取材。約100人の観客は、想定する指定区域に収まっていなかった。観客の一人は同規模の路上ライブが開けなくなると聞き、「なんか寂しいな...」と話す。区域をはみ出す規模の観客を集めるアーティストについて、「路上ではない所で活躍してほしい」と語る市の担当者の声も取り上げた。

 「表現の自由」との兼ね合いにも着目した。識者の一人は、通行人が円滑に通れるよう指定区域などの制約を設けたもので、「市は自由を最大限に尊重しようとした」と制度を評価。一方で、「行政が自らの都合に合わせてルールを策定しかねない」と運用に懸念を示す別の識者の指摘も報じた。

 試行期間は来年3月末まで続く。荻野氏は、自由な表現活動を応援し続けられるよう、制度の課題や市・警察への通報状況の変化などを注視したいと述べた。

 登録を済ませたアーティスト数は324組(7月29日時点)。市が想定する300組を上回った。(直)

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