2026年 3月10日
誰もが理解者になれると提示

静岡「老後リアル 認知症と生きる」2月12~17日(全5回)

 社会の高齢化とともに認知症患者が増えている。一昨年には「認知症基本法」が施行。認知症に関する理解深化が国民の責務とされた。静岡の大橋弘典社会部記者は昨年、介護離職に関する取材で認知症介護の過酷な実態を目の当たりにし、「認知症が当たり前になる未来」に思いをはせた。当事者にとって暮らしやすく、温かい地域を築くための手掛かりを探った。

 初回で取り上げた三島市に住む認知症の男性(74)は発症後、家に閉じこもりがちになった。転機となったのは、妻と通い始めた当事者交流の場。そこで指や手のひらをほぐすハンドトリートメントを習い、評判になるほど上達した。自信を取り戻し、今では認知症支援団体の一員として活動する。「『認知症の人は何もできない』という固定観念を取り払ってくれる存在だ」と大橋記者。

 介護者が直面する苦悩と負担も伝えた。被害妄想や幻覚症状がある母を介護してきた女性は、泥棒扱いされたり、介護施設に行くのを拒まれたりして疲れ切ったと話した。「母の首を絞めて私も死のうかと何度も思った」との胸中を報じた。

 女性が同じ境遇の人に向け「心にたまったおりを誰かに吐き出してほしい」と語る様子が心に残った。当事者同士が交流する「認知症カフェ」に足を運び、本人や家族が団らんする風景を描いた。「人とつながり、愚痴をこぼせる場所があることを伝えたかった」。

 周囲の理解を醸成することは今後の大きな課題だ。認知症に対する正しい知識や、それを踏まえた接し方などを学べる「サポーター養成講座」を紹介。新人記者による体験取材の形式を採り、誰もが認知症の理解者になれることを示した。

 連載は各回にQRコードを配し、カフェや養成講座の参加方法を説明するデジタル記事などに遷移できるようにした。「問題意識を持った読者が行動に移すきっかけになれば」との思いを込めた。(丈)

 ※連載はこちら(他社サイトに移動します)

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