2016年 2月9日
国際社会は連携し対応を

中国による事態打開に期待

 北朝鮮が年明け早々の1月6日、4度目の核実験をした。各紙は7日の社説などで厳しく反応し、「暴挙」「愚挙」などという言葉を用いて、「国際社会への重大な挑戦」や「断じて許せない」などと主張した。そのうえで、中国の動向や国際社会がどう協力するかに注目した論考が多くの社説に共通した。日本人拉致問題の解決への影響を懸念する指摘も目立った。

厳しい制裁求める

 産経は7、8日の両日取り上げた。7日は「新たな制裁強化を突きつけるべく、国連安全保障理事会は速やかに行動すべきだ(中略)あらゆる手段を講じて、北朝鮮の暴走を阻止しなければならない」と迫った。日本についても「一部解除した独自制裁の復活や新たな追加制裁に踏み切るべきだ」と訴えた。

  「厳しい制裁」は日経も求めた。核実験を「蛮行」と批判したうえで、「国際社会は厳しい制裁を科し、北朝鮮の暴走を直ちに止める必要がある」とした。

 北國は「国際社会の制裁に併せ、一部解除した制裁を復活させるだけでなく、拉致解決を迫る独自の制裁強化を考える必要があるのではないか」と指摘した。

 北朝鮮の「暴挙」に対抗するには国際社会の協力が欠かせない。

 毎日は「北朝鮮による核開発を封じ込めることなしに北東アジアの平和と安全は実現しない。日本は、米韓両国との連携を改めて固めたうえで、中露などと協力して国際包囲網の再構築を図るべきである」

 中日・東京は「日本は今年、国連安保理の非常任理事国だ。国連外交で積極的な役割を果たしてほしい」と訴えた。

 信濃毎日は「国際社会の対応が急がれる。米国は新たな安保理決議による追加制裁を求める。安保理の協議には今月から非常任理事国入りした日本も参加する。北朝鮮に強行姿勢を転じさせるため、実効性のある合意が必要だ」と主張した。

 沖タイは「それにしても米国の北朝鮮非核化政策が失敗の連続で、成果を挙げることができなかったのはなぜか。北朝鮮の核放棄を確認した6カ国協議も08年から途絶え、有効な対策がとられなかった。米、中、韓、露、日の関係国が共同歩調体制を立て直す必要がある」と指摘した。

 「暴発を防ぐには、どんな対応が有効か、国際社会は連携して考える必要がある。そのためには北朝鮮の出方を見極め、過剰反応することなく、冷静に構えることが欠かせない」とする秋田魁の主張もあった。

 読売は昨秋成立した安全保障関連法に触れ、「(安保法で)弾道ミサイル発射を警戒中の米艦の防護などが可能になった。日本周辺での日米共同の警戒監視活動を拡充し、抑止力を高めたい」とした。

 長崎は、長崎大核兵器廃絶研究センターによる北東アジア非核兵器地帯設立を目指す提言に触れた。「制裁以外の手だてを持たない国際社会が、制裁が効かない国を相手にしている今、必要なのはあらゆるアイデアについて、真剣な検討を試みることではないか」と指摘した。
 

拉致問題への影響を懸念も

 国際社会が北朝鮮に対し、強い力を持ちうるか。中国の動きを注視する論考は次のような主張だ。

 南日本は「中国はこれまでも核・ミサイル開発を非難し貿易や金融面で圧力を強めてきた経緯がある。友好国としての責任を自覚し、指導力を発揮してもらいたい」と指摘した。

 山陽は、中国について「エネルギーや食料などで依然、一定の影響力を持つのは確かだろう。北朝鮮に対し強い態度で臨み、責任を果たしてもらいたい」

 北海道は「事態打開の鍵を握っているのは中国だ。中国政府はきのう、『北朝鮮に非核化の約束を守るよう促す』と強調した。であるなら習近平指導部は、北朝鮮の非核化を目指す6カ国協議の再開に全力を挙げるべきだ」

 朝日は「なにより注目すべきは、中国の出方である」「(北朝鮮の)体制が延命できたのは、中国による広範な支援があったからだ」とし、「(中国は)言葉だけでなく、厳しい行動でこそ北朝鮮指導部をいさめるべきだ」と求めた。

 日本人拉致問題の解決に向けての影響を懸念する論考では、次のような指摘があった。

 河北は「日本人拉致問題の再調査には深刻な影響を与えよう」と見通した。日本の制裁が強まれば、「日朝協議は完全に止まりかねない。家族の願いはまた遠のく。そういう事態となれば、残念というしかない」

 高知は「解決がさらに遠のく恐れがあるが、国際社会と連携しながら厳しい姿勢で臨まざるを得ないだろう」。愛媛は「政府は約束をきちんと果たすよう、引き続き求めていくべきだ」と訴えた。(審査室)

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