2019年 1月15日
改元の節目 新時代を展望

改革進め試練に立ち向かえ

 平成最後となる年が明けた。バブル経済の浮沈、冷戦崩壊のなかで始まった30年を経て今、米中間の覇権争いなど厳しい国際情勢が続き、人工知能(AI)など技術革新は進む。新元号スタート、大阪での20か国・地域(G20)首脳会合開催、参院選。過去を振り返り、新時代を見つめる重要な1年になるだろう。在京各紙の元日紙面はそれぞれ独自の展開となった。

4紙がニュース、2紙企画

 【1面トップ】朝日、読売、産経、東京がニュースで展開。毎日、日経は連載企画でトップを張った。

 朝日「昭和天皇直筆原稿見つかる 晩年の歌252首 推敲(すいこう)の跡も」=昭和天皇が晩年、御製(和歌)を推敲する際に使ったとみられる原稿が見つかったと報じた。近しい人が保管しており、筆跡を知る歌人ら専門家が直筆と認めたという。「宮内庁」の文字が入った罫紙(けいし)29枚、表裏57ページ。少なくとも252首が確認でき、1985年ごろから病に伏す88年秋までに書かれたとみられる。まとまった状態での直筆文書が公になるのは初めてで「一級の史料」と紹介した。

 読売「インフラ機密 国内厳守 中国サイバー警戒 電力や水道 14分野に要請へ」=政府は2019年4月にも、重要インフラ(社会基盤)関連企業が持つ電子データについて、国内サーバーでの保管を要請する方針を固めたと報じた。インターネット空間の「サイバー戦争」の脅威が指摘されるなか、セキュリティー対策としての取り組み。2面で「中国包囲へ国際協調」と関連記事を展開。背景に情報通信を巡る米国と中国の覇権争いがあり、台頭する中国に警戒を強める米国が、日本や欧州に共同歩調を求めていると伝えた。

 産経「新元号4月1日公表 首相、4日年頭会見で表明」=19年元日にふさわしく、天皇陛下の譲位と皇太子さまの新天皇即位に伴う新元号について、安倍晋三首相が4月1日に閣議決定し、同日中に公表する方針を固めたと報道した。1月4日に伊勢神宮参拝後の年頭記者会見で正式発表するとした。首相は当初、4月11日の新元号公表を検討していたが、5月1日の改元に伴うコンピューターソフトのシステム改修が間に合わないため断念したと経緯も含め詳報した。

 東京「五輪渋滞 ナンバー規制案 IOCが対策提示」=2020年東京五輪・パラリンピック関連の独自ニュース。期間中の都心の渋滞を緩和するために、国際オリンピック委員会が、車両のナンバープレートの数字で通行規制する案を示していたことが分かったと報じた。末尾が偶数か奇数で1日ごとに通行を禁じるという手法。組織委員会などは「検討していない」と慎重な姿勢だが、選手らの移動のために首都高などで交通量を4割減らす必要があるとの見方もあるという。

 毎日 連載「平成という時代 第3部変化」=「平成は、グルーバル化やインターネットの普及を背景に社会が大きく変化し、価値観の多様化が進んだ時代だった。さまざまな変化を追うとともに、その先にある次代をどう描いていくべきか考えたい」と前文でコンセプトを紹介した。初回は「ハーフ」の人たちの軌跡をたどり、「日本人」の概念の変化に迫ったという。1面と社会面で、活躍するスポーツ選手やアフリカ系3兄弟の姿を紹介し、2面で識者インタビューを載せ、多面展開した。

 日経 連載「Tech2050 新幸福論」=「テクノロジーの進歩が速度を増し、人類は2050年に肉体や能力の限界を超える。幸福のあり方も根底から覆る未来。岐路に立つ人類は新たな価値観を創り出すときに来ている」とコンパクトな前文で紹介。初回は、人体最後のフロンティアとされる脳に焦点を当て、テクノロジーの変化はこれまでの30年よりも今後の30年でより加速すると予測、人間の知性をAIが超える「シンギュラリティー」の到来も予想されるとした。見開き2ページで関連特集を詳報した。

AI社会の危うさ指摘

 【社説・論説】平成最後の2019年。元日紙面ではこれまでを振り返り、新時代にかける論考・提言が多かった。

 朝日「権力のありかを問い直す 政治改革30年の先に」=政治改革がもたらした功と罪を総括して次の段階に進むべきだとし、「安倍1強」に行き着いた小選挙区制の導入は失敗だったのかと問う。だが急ぎすぎてはならず、政権交代が当たり前になれば「あすは我が身」と様変わりする可能性がなくもないと指摘した。国会を強くする必要があるとし、「内閣や国会の権力の淵源(えんげん)は、主権者たる国民である。政治に緊張感を持たせる最良の手段は、主権者が厳しい視線を絶やさないことである」と結んだ。

 毎日「メカニズムの違いを知る AIと民主主義」=スマートフォンを多くの人が持ち歩き、デジタルデータの流通量が飛躍的に増え、「情報爆発」の時代だと現状を分析。強力なAIは利用者の消費性向を知り尽くそうとするとし、専門家も「シンギュラリティーはすでに起きている」と指摘した。「これまでAIに対し無防備過ぎたかもしれない」と問い掛け、議論をするなどの「リアルな肌触り」を省けば民主主義は後退するとの見方を示した。

 読売「米中対立の試練に立ち向かえ 新時代に適した財政・社会保障に」=最も警戒すべきは、米国と中国の覇権争いによる混乱であると指摘。「新たな冷戦」に対し、米国の同盟国であり、中国との深い関係にある日本こそが、地域の安定と繁栄を維持する責務を果たすべきと訴えた。さらに国民の将来への不安をどう払拭(ふっしょく)するのかと問うた。財政と金融の現状を直視し、医療、介護、年金が持続可能であることなどについて、夏の参院選で与野党に具体策を示すよう求めた。

 日経「不確実性にたじろがず改革進めよ」=日本は平成の「停滞の30年」を脱してどう進路をとるべきか。大阪で開かれるG20で、国際協調の重要性を説く必要があると指摘。日本企業が時代を変えるイノベーションを主導できていない理由として、グローバル化とデジタル化の二大潮流に乗れなかったことを挙げた。その上で、平成の次の時代を豊かなものにするために、また日本の復権を実現するために、政府も企業も改革に全力を尽くす年にしたいと呼び掛けた。

 産経「年のはじめに さらば、『敗北』の時代よ」=東日本大震災、阪神大震災と地下鉄サリン事件。大きな厄災に見舞われつつもおおむね「平」和で「成」熟した社会と総括していたが、国内総生産(GDP)の後退などの数字は、平成日本の「敗北」を冷酷に物語っていたと指摘。敗因を考察した上で「日米安保さえあれば大丈夫だ、という思考停止の時代は間もなく終わりを告げる。この国自らが厳しい選択をその都度迫られる新しき時代こそ、日本人は戦後の呪縛から解き放たれる」と訴えた。

 東京「分断の時代を超えて 年のはじめに考える」=冒頭、「世界は、そして私たちは歴史的な試練に立たされている」と指摘。平成の始まるころ、米ソ冷戦という重しがはずれ、世界も日本も自由と競争を手に入れたはずだったが、現状では格差や不平等、不公平な状況に陥っていると考察した。欧米でも日本でも最大のテーマは民主主義の危機だとした上で、「分断」を超え対話を取り戻さなければならないと訴えた。

 【主な連載企画】朝日=「エイジングニッポン」(12月30日から)・国際面「私が変える」(12月31日から)、毎日=「平成という時代 第3部」・国際面「『壁』と世界」(12月31日から)、読売=「改 ニッポン」(1月3日から)、くらし面「和を食す 第6部」、日経=「Tech2050 新幸福論」、社会面「ヒトシズク」、産経=「新時代」、社会面「象徴 次代へ」(1月3日から)、東京=国際面「メディアと世界 揺らぐ報道の自由」、社会面「Vの時代 ボランティアが築く未来」

 【元日号ページ数(かっこ内の数字は2018、17年の順)】朝日106(116、114)▽毎日68(76、76)▽読売104(96、94)▽日経104(104、100)▽産経72(72、76)▽東京56(56、58)(審査室)

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