3月 5日付 反対7割 重み受け止めよ

基地負担 国全体の課題

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を問う県民投票が2月24日実施された。辺野古沿岸部の埋め立てに「反対」の票が7割を超え、「賛成」「どちらでもない」を大きく上回った。各紙は、政府が投票結果を真摯(しんし)に受け止め、工事を中断して沖縄県と協議することを求めるとともに、米軍基地負担が日本全体に突きつけられた問題だと論じた。

政府に県との対話促す

 茨城、佐賀、大分合同などは、投票に法的拘束力はないものの「共同通信の電話世論調査では86・3%の人が政府は投票結果を尊重すべきだと回答した。辺野古移設の1点に絞って県民の民意が示された意味を重く受け止めるべきだ」と指摘。「沖縄の過重な基地負担の現状と歴史的経緯、辺野古移設工事が抱える問題点などを考えれば移設工事をこのまま進めていいのか」と訴え、政府に県との対話を求めた。

 北海道は「保守系の首長らが賛否の2択に反対し一部自治体で投票実施が危ぶまれた。『どちらでもない』を加えた3択になったことで、明確な意思表示になりづらいとの指摘もあった。自民、公明両党が自主投票を決め街頭演説を控えたため、盛り上がりを欠くとの懸念も出ていた。そうした中、投票率が50%を超えたのは基地問題の解決を望む県民がいかに多いかを示している」と分析した。

 新潟も「投票総数の7割超、43万4千余に上った反対票は、昨年9月の知事選で玉城デニー知事が得た39万6千票を上回った。これに対し、『賛成』は19・1%にとどまり、『どちらでもない』は8・8%だった」「今回の県民投票の方がより直接的に民意を反映しているのは間違いない」と意義を説明した。

 神戸は、投票前に発覚した軟弱地盤の問題を指摘。「政府は想定外だった約7万7千本のくい打ち込みを計画している。県の試算では、地盤改良に伴う建設費は計画の『3500億円以上』から2・5兆円に膨み、工期は5年から13年に伸びる」ことを挙げ、移設はもはや「唯一の解決策」と言える状況ではないと主張した。

 毎日は、外交・安全保障は「政府が全国的な見地から責任を負う分野ではあるが、基地の立地に自治体が異議を申し立てる権利まで否定するのは暴論だ。住民の反感に囲まれた基地が円滑に運用できるはずがない」と指摘。「たび重なる民意無視は民主主義を軽んじることにほかならない」と強調した。

 地元2紙は米政府との交渉を促した。琉球は「普天間飛行場は、県内移設を伴わない全面返還に方針を転換し、米側と交渉してもらいたい。まずは県民投票の結果をありのままに米国に伝え、理解を求めることだ」と訴え、沖タイも「安倍内閣の政権運営は安定している。トランプ米大統領との相性の良さは抜群だ」として、この政治的資産を生かして「辺野古新基地建設計画を断念し、普天間の早期返還に向け、日米協議を開始すべきだ」と説いた。

 基地負担を日本全体で考えるべきだと論じたのは朝日。「県民投票に向けて署名集めに取り組んできた人たちは、沖縄という地域を超え、全国で議論が深まることに期待を寄せる。自分たちのまちで、同じような問題が持ちあがり、政府が同じような振る舞いをしたら、自分はどうするか」「問われているのは、国のありようそのものだ」と問い掛けた。中日・東京も同様に「国策なら何でも地方は受忍せざるを得ないのか。選挙による民意表明が機能しない場合、住民は何ができるのか。混迷の末に行われた沖縄県民投票は、国民にも重い問いを突きつけた」と書いた。

 日経は、双方が話し合いの糸口を探るべきだと促し、「例えば、国が『日本の安保は全国が等しく担うべき課題だ』と声明してはどうだろうか。基地の偏在の解消に一生懸命、取り組む姿勢が伝われば、沖縄県民の心情も徐々に和らぎ、話し合いの機運も生まれるのではないか」と提案した。

現実的な負担軽減策を

 一方、読売は基地移設先のような「複雑に利害が絡む国政の課題は、有権者に直接問うのではなく、国政選挙で選ばれた国会議員に委ねるべきである」と指摘。「投票の結果を盾に政府と向き合えば、妥協の余地はなくなり、対立を深めるだけだ」「代替案もなく、辺野古移設反対を唱え続ける知事の姿勢は、無責任と言わざるを得ない」と疑問を示し、現実的な負担軽減策を目指すべきだとした。

 産経も「知事はこれ以上、移設工事を妨げたり、不毛な訴訟合戦に入ったりすべきではない。普天間飛行場周辺の県民の安全確保と、国民を守る安全保障政策を尊重し、移設容認に転じるべき」だと主張し、政府には「辺野古移設を着実に進めるとともに、日本の安全にとって移設が重要であることを、県民に粘り強く説く責任」を求めた。(審査室)

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