決定過程の公開求める

意味与えるのは今を生きる人

 平成の次の元号が4月1日に令和と決定、公表された。これを受け、新元号の響きや意味するところ、典拠、新しい時代への期待や決意などについて各紙が社説を展開した。決定の時期を含めた過程、発表の仕方やそこに込められたメッセージなどについて取り上げる社説も目立った。

 令和の典拠や言葉の響きについて、南日本は「穏やかで美しい風景を思い浮かべた人も多いのではないか。落ち着いた語感の中にも、心の中に力がわいてくるような響きも感じる」と評価した。静岡も「選ばれた理由や込められた願いは誰にも分かりやすい。次の時代につなぐ万人納得の元号ではないか」とした。

 他方、長崎は「『令和』の『和』についても、『平和』への願いが込められているのだろうが、過去の戦争や現在の安全保障環境に対する時代認識がどれだけ反映されただろうか」と疑問を投げた。中日・東京は「これまで漢籍から採った元号を受け入れてきたのは、中国古典の素地で日本の教養が培われてきた歴史を誰もが知っているからである。国書もいいが、ことさらこの伝統を排したなら狭量すぎる」と指摘した。

首相の私物ではない

 首相の記者会見に触れた社説も目立った。徳島は「首相が新元号決定の総責任者として、国民にその思いを明らかにするのは、元号法の趣旨から妥当なことだ」と主張した。一方、信濃毎日は「『一人一人の日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたい、との願いを込めた』と述べている。だれの思いなのか。元号は首相の私物ではあるまい。『令和』を自らの国民へのメッセージとするのなら筋違いではないか」と論じた。

 「安倍晋三首相は新元号発表後の記者会見で『国柄』ということばを強調した。『国柄』を強調するあまり、他国の文化への敬意を欠いた偏狭なナショナリズムを育てるようなことがあってはならない」と沖タイは主張した。岐阜は「自ら憲法改正で明記を目指す自衛隊を想起させる『防人』にあえて言及したのは違和感があった」と指摘した。

 神奈川は「元号の改定に格別の意味付けをする必要はあるまい。今は西暦の呼称が広く一般に浸透し、今回は退位特例法に基づいた逝去によらない改元とはいえ、社会の何かが大きく変わるわけでもないからだ」と論じた。朝日も「自ら首相談話を発表し、元号が用いられることへの理解と協力を求めた。だが、元号への向き合い方は人それぞれであることは言うまでもない」とした。

 元号の決定過程について北海道は「『密室』で決め、情報を管理する態度は、権力者による『時の支配』という元号の古いイメージを想起させかねない」とした。熊本日日も「国民が共有する『時代の名前』である元号を、政府が一方的に決定し、お触れを出すような現在の選定方法には疑問が残る」と論じた。

 日経は「今回『令和』に決定した過程も含め、他にどんな候補があり、どのような議論が有識者会議などでかわされたのか、詳細に記録し時期が来たら公開することは、正確な史実を後世につたえていく意味で重要だろう」。神戸も「秘密主義は元号と国民との距離を遠くするだけである」とした。

手続きに賛否

 公布に至る手続きについて、読売は「政府が公布前に、新元号を皇太子さまに報告したのは、天皇と元号の伝統的な関係の深さに鑑みた対応と言えよう」と主張した。産経は「正式な手続きは、新天皇の下でとるべきだった。政府が新元号を内定の形で発表し、改元の政令には、これからの時代を担われる新しい天皇が署名、押印されるのが自然である」と論じた。

 一方、宮崎日日は「安倍首相は2月22日と3月29日、皇太子さまに面会した。新元号の選定状況を報告した可能性がある。憲法4条は『天皇は国政に関する権能を有しない』としており、新元号案への意見を聞くことはできない。首相は憲法違反がなかったことを明確にすべきだ」。毎日も「意見を求めていれば、天皇が『国政に関する権能を有しない』とする憲法4条に触れるおそれがある。この経過も、情報公開が欠かせない」と主張した。

 新元号とともに、愛媛は決意を新たにした。「戦後の国是である『平和国家』を揺るがす動きは決して見過ごしてはならない。後世の人々が『令和』を、希望と喜びに満ちた良い時代だったと振り返られるようにすることを、来月からのわれわれの責務としたい」。福島民報は「令和は、どんな世の中となり、後にどう評価されるのか。それは、今を生きる、そしてこれから生まれる全ての人にかかっている」とした。(審査室)

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