象徴像を描くのは主権者

皇室の将来 議論待ったなし

 5月1日、新天皇が即位し令和時代が始まった。各紙は「幕を開ける」「令和元年の初日」「令和に改まった」などさまざまな表現で社説・論説を書き出した。平成を振り返り、新時代の皇室の在り方を考えたり、自分たちの足元を見つめ直し、未来への希望を論じたりした社が多かった。

平和と共生の時代に

 「キーワードは『平和』と『共生』である。戦争や紛争をせず軍縮を進め、人々が多様性を認めながら経済的にも支え合う世界像だ。令和は、それを実現する時代にしたい」。そう論じたのは琉球だ。朝日も「平成のときに培われた、国民主権や平和主義など憲法の理念・原則に即した象徴像を、新天皇とともに、さらに確かで磨かれたものにしていきたい」と主張した。読売は「激動の昭和に続く平成を振り返り、引き継ぐものと、改めるものを峻別して力強く次代へ歩み出したい」としたうえで、「平和と安定、繁栄を維持するため、新たな気概を持って国づくりに取り組みたい」と決意を新たにした。

 主権者は国民―。毎日は私たちに求められるのが「今後も押し寄せる巨大な変化に適応するための、しなやかさと辛抱強さではないだろうか」とし、「天皇は国民統合の象徴ではあっても、主体ではない。国の姿を考え、社会の調和を図っていくのは、国民自身の課題である」とした。中日・東京も「共に生きること、そして平和への意志。その二つが求めるのは人権の尊重です。他人を自分と同じように重んじることです」とし、「日々を歴史に変えるのは私たち自身なのです」とまとめた。愛媛は「新陛下とともに、令和の時代にふさわしい象徴の在り方を考える。そんな出発の日にしたい」。熊本日日も「新陛下が模索される象徴天皇の在り方を主権者の視点から見守り、日本のありようをともに探りながら、新しい時代を前へ進めていきたい」と結んだ。

 新時代に真っ先に取り組むべき課題として、皇室の在り方を挙げる論も多かった。日経は「新しい時代の象徴像への期待の一方で、いま皇室をめぐっては解決が迫られている課題がある。皇族数の減少と、それに伴う皇位の安定的な継承に関してである」とした。北海道も「積み重ねてきた公務を整理・縮小するのは容易なことではなかろうが、負担の少ない取り組み方や分担はどうあるべきか、宮内庁は知恵を絞ってもらいたい」と注文。神奈川は「皇族の担務の負担軽減と女性宮家の創設問題。皇族の存続に密接に関わる女性・女系天皇の是非についての議論も避けられまい」とみる。静岡も「議論は先送りできない」とした。

 神戸は「象徴に何を望むのか。そして主権者である国民は、よりよい未来に向けてどう生きるのか。この問いの答えを一人一人が探し続けることが大切です」とし、山陽は「われわれも象徴天皇制の将来にもっと危機感を持たねばならない。天皇の地位は『日本国民の総意に基づく』(憲法1条)ものである」とした。

 新天皇に対して期待する主張も。河北は「両天皇の来し方をかみしめ、平和への思いを脈々と受け継がれる振る舞いを期待したい」とし、信濃毎日も「憲法を守り、従う日本国民の象徴として、平和を希求する姿勢は欠かせない。前陛下の思いを継承していくことを国民は望んでいる」。高知は「前天皇陛下が追求された、憲法を守りつつ国民に常に寄り添う『象徴天皇』の在り方を継承・発展させるとともに、新しい時代にふさわしい風を皇室に吹き込まれることを期待したい」と呼び掛けた。

 天皇制について京都は「偏見や過剰な賛美などではなく、天皇制の評価や問題点について自由に論じ合う。新陛下とともに、そんな当たり前のことができる時代にしていきたい」と触れている。

改元は再生の契機

 地方の在りようを見つめる論も目立った。秋田魁は「日本が活力を取り戻すためには地方の再生が不可欠」とし、「改元を、大きなきっかけにしてもらいたい」とした。北日本は「自立と共生を柱に、富山ならではの『地方の姿』を描く元年にしたい」とし、紀伊も「いつの時代も地域を育み、歴史を刻むのは、その地に生きる人々だ」と主張した。

 将来を見据え、産経は「かつてない少子高齢化時代や厳しい国際情勢をどう乗り切ればいいのか。国家の根本に立ち返った国民的大議論を国会から巻き起こしてほしい」とし、山陰中央は「いまこそ政治も、経済も、外交も、社会も構想力が試されるとき」「成熟国家のトップランナーを目指す心意気を持ちたい」と結んだ。西日本は、日本に必要なのは「格差を生み出す強者の論理ではなく、弱い者やつらい立場にいる人に寄り添い、多様な生き方を受け入れる寛容さだ。それこそが令和の『整った美しさ』ではないだろうか」と論じた。(審査室)

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