泉佐野市除外追認に疑問

健全な寄付促進策検討を

 総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した決定は違法だとして、市が取り消しを求めた訴訟で、大阪高裁は1月30日、違法性はないとして請求を棄却し、国勝訴の判決を言い渡した。各紙とも泉佐野市がアマゾンのギフト券などを返礼品として巨額の寄付を集めたことがふるさと納税の在り方をゆがめたと批判。一方で、当初の制度設計に自治体の返礼品競争に歯止めをかけるルールがないことなどを指摘する論調が相次いだ。

地方自治への介入同然

 各紙は判決を機にふるさと納税の在り方を改めて考え直す必要性を訴えた。泉佐野市は判決を不服として2月6日、最高裁に上告した。

 返礼品を寄付額の3割以下の地場産品とする改正地方税法下の新制度が昨年6月に始まった。裁判の争点となったのは、新制度施行以前の寄付金の集め方を理由にして総務省が泉佐野市を除外した決定の適否。判決は「総務相に裁量権の逸脱・乱用はない」と認めた。南日本は「新しい法を施行以前にさかのぼって適用できない『法の不遡及』の原則を超えてまで、総務相の裁量権を認めたのには疑問が残る。本来、対等であるべき国と地方のありように禍根を残した」と強調。北海道も「社会の安定が損なわれかねない。法治国家としてあってはならないことだ」と批判した。

 東奥、茨城、山陰中央、佐賀、長崎などは「自治体運営への国の関与を最低限に抑える地方自治法の原則にも抵触し、過去の地方施策を問題視する政府の介入が横行しかねない危うさもはらむ」との懸念を表明した。

 静岡は、訴訟になる前に地方分権改革一括法で設置された国地方係争処理委員会が、新制度を定めた改正地方税法に反する恐れがあるとして除外決定の再検討を勧告したにもかかわらず、総務相が無視して断行した点に触れ、「高裁判決も追認したことは地方分権や地方自治の今後の在り方に少なからぬ影響を与える懸念も拭えない」と論じた。

 朝日は訴訟に発展したことについて「本来は対等で、協力し合うべき国と自治体の関係がなぜ、ここまでこじれたのか」と疑問を呈し、「節度のない泉佐野市のふるまいは、判決が指摘するように、厳しく批判されて当然だ」と強調。総務省に対しても「自治体と信頼関係を築く努力をどこまで重ねたのか。『上下・主従』の目線はなかったか」と自省を求めた。

 一方、日経は訴訟について「地方分権の観点からは、対等な関係とされた国と自治体が法律解釈を司法の場で争うのは地方の自立に資すると評価することもできる」と前向きに受け止めた。

 ふるさと納税の健全な運用に向け、自治体に努力や節度を求める主張もあった。読売はふるさと納税で寄付を募る自治体に対し「地域の課題や独自の政策をアピールし、賛同を得られるよう努力する必要がある」と求めた。山形は「自治体側は、制度の穴を突くような寄付集めは慎まねばならない。ふるさと納税制度を健全に発展させるためには自治体の良識が不可欠だ」と唱えた。

 ふるさと納税の抱える問題点を指摘する論調も目立った。山梨日日は「人気の地場産品の有無で寄付額に差が出るのは否めない。それは都市部に集まりがちな財源を地方に振り分けるという狙いと裏腹に、地方の格差を再生産しているとも言えないか」と指摘。国と地方がふるさと納税の理念と返礼の意味を再考し、より良い制度にするよう求めた。

 信濃毎日は「寄付者が暮らす地域の福祉や教育に使われる住民税をよそに回すという構造的矛盾をはらむ。特産品が少ない市町村は不利な条件を強いられている」とした。産経は「地場産品が少ない地域が不利な状況になっていないかなど、今後も細やかな目配りが欠かせない」と総務省に求めた。

返礼品不要論も

 返礼品の廃止などを主張する論説も目を引いた。北日本はふるさと納税の税控除の仕組みによって多くの自治体が税収を減らしていることなどに言及した上で「そうしたゆがみを正すには返礼品の廃止以外に方法はなかろう」と強調。返礼品競争が是正されないなら「現行の制度をいったん停止させるべきである」と論じた。

 毎日は新制度によって「地域支援と無縁のカタログショッピング化したゆがみが是正されたかは疑問」とし、根本的な解決のためには「返礼品を廃止するしかあるまい」と訴えた。西日本は「見返りを求めない寄付がふるさと納税の原点だとすれば、返礼品に頼るやり方は改めるべきだ」と指摘。それで寄付が集まらないなら「権限と財源を国から地方へ移譲し、地方が税収を含めて活力を取り戻す方策を検討すべきだ」と主張した。(審査室)

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