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2021年 12月7日
脱石炭 各国は道筋示せ COP26 気温上昇「1.5度」目標

化石賞の日本 政策見直しを

 国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)は11月13日まで英国で開かれ、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える努力を追求するとの成果文書を採択した。二酸化炭素の排出量が多い石炭火力発電の段階的な削減を文書に盛り込んだ。各社の社説・論説は、日本をはじめとする各国・地域に具体的かつ責任ある行動を求める論調が目立った。

 気温上昇を1.5度以内に抑える目標について、毎日は「温暖化対策の国際枠組みである『パリ協定』よりも明確に『1.5度』を世界の共通目標として位置付けた意義は大きい」と評価。「世界の共通目標として明確化された」(河北)、「200近い国と地域が歩み寄り、気温上昇に立ち向かう意思を確認し合えた」(山陽)など、好意的な見方が多かった。高知は「COP26を一里塚として、さらに対策の上積みを図る必要がある」とし、各国に対応を求めた。

「削減」 実効性に疑問符

 地球の平均気温は産業革命前より既に1.1度上がっている。会議では石炭火力の扱いが焦点の一つになった。各国の事情や思惑が絡み合った結果、文書は当初案の「段階的な廃止」でなく「段階的な削減」を目指すとの表現に修正。対象は温室効果ガスの削減策を講じていない発電所に限定するとの文言を追加した。

 北海道は「危機感の共有は不十分だった。焦点となった石炭火力は、各国間の調整がつかず段階的廃止を目指した当初案より後退した」と総括した。

 朝日は「温暖化抑制には不十分な表現だが、石炭火力を重要なエネルギー源としている中国やインドも合意した意味は大きい」との見解を示した。愛媛は「削減が国際公約となった事実は重い」、熊本日日も「削減への意志が国際的に明示されたと言える」とした。信濃毎日は「一定の方向性を示すことができたのは、大きな前進だ」としながらも、「実効性が伴うか不透明だ。脱炭素に向けて、各国が具体的にどう行動していくかが問われる」と問題提起した。

 文書は「この重要な10年間」に行動を加速する必要性も強調した。「削減目標を引き上げ、実行に移さねばならない」(新潟)、「今後、脱石炭への具体的な道筋を描かねばならない」(京都)などと早急な取り組みを各国に求めた。

 会議では、途上国が先進国の排出した温室効果ガスで損失を被ったとして支援を求めた。文書には支援内容の検討が盛り込まれた。日経は「先進国は実効性ある迅速な支援を真摯に考えるべきだ」と主張。先進国が途上国の削減に貢献した分を、自国の削減量として計上できるルールも整ったことで、読売は「削減量取引の仕組みを活用しながら日本の排出量を削減していくことが重要だ」と訴えた。

 北國は「メタン削減をめざす新たな国際枠組みが、日本を含む100カ国・地域以上の参加を得て発足したこともCOP26の成果の一つである」と評価した。

脱炭素事業でけん引期待

 日本は温暖化対策について、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロという目標を掲げている。今年10月に閣議決定した第6次エネルギー基本計画は、30年度時点でも石炭火力に19%を依存する内容だった。岸田文雄政権に対しては注文や期待が相次いだ。

 中日・東京は「石炭火力にこだわり、今回も国際NGOから温暖化対策に後ろ向きな国に贈られる『化石賞』を贈呈された日本は、世界の大きな潮流からは周回遅れの感がある」とし、政策の根本的な見直しを迫られていると論じた。沖タイは50年までの目標について、「会議を機に具体的な体制整備を急ぐ必要がある」と注文を付けた。神戸は「岸田政権には、脱石炭に踏み出す決断が求められている」と強調した。

 西日本は脱炭素ビジネスの活性化に触れ、「環境分野で技術の蓄積がある日本はこの分野で、けん引役を果たせるのではないか」と期待を見せた。

 二酸化炭素を排出しない利点がある原発に触れた産経は「日本も原発再稼働を軌道に乗せるべく、岸田文雄首相に指導力を発揮してもらいたい」とした。

 再生エネルギーの重要性を説く意見も多かった。「再生エネルギー拡充への取り組みも加速させなければならない」(秋田魁)、「再生可能エネルギーの推進は最優先で取り組むべき項目だ」(琉球)などと訴えた。

 福井は、気候変動の分野でけん引役になることを掲げる日本について「石炭火力の一刻も早い廃止などに向け、点検と見直しに急ぎ取りかかるべきだ」と主張した。南日本も「エネルギー政策の見直しを含め、脱石炭へ対応を急ぐべきだ」とし、政府に速やかな行動を求めた。(審査室)

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