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2023年 7月11日
保険証廃止 見直しが筋 マイナカード巡り問題続々

国民の不安払拭必要

 政府に預けた自分の情報が漏れているのでは――。マイナンバーカードを巡る不具合が続々と明らかになり、人々の不安や不満が高まる中、各紙は6月、社説・論説で相次ぎ見解を示した。トラブルが後を絶たず、制度の立て直しを求める各社の主張は次第に強まった。

 カードの取得自体は任意であるにもかかわらず、現行の健康保険証を来秋に廃止し、マイナ保険証としてカードと一体化するのは事実上の強制だと疑問視されてきた。関連法成立を機に見直しを求める声が広がった。

 読売は保険証の廃止について「無理があろう。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋」と指摘。「見直しは、今からでも遅くはない」「当初の予定通り、選択制に戻すのも一案」と打ち出した。中日・東京も高齢者施設でマイナ保険証を管理する難しさに触れ、2026年の新カード導入までは「現行の健康保険証は維持すべき」と求めた。

自治体へのしわ寄せ指摘

 地方紙・ブロック紙の反応も早かった。カード普及の現場で制度やシステムの不具合に苦労する地元自治体を見ているからだろう。

 中国は「トラブルを『自治体の運用のせい』としていた態度をまずは改めるべき」と政府を批判。「保険証や運転免許証の一体化の検討は少なくとも立ち止まるべきだ」と主張した。信濃毎日も、別人の医療情報がひも付けされるなどマイナ保険証を巡る問題について「とりわけ深刻」だと指摘。「来年秋の健康保険証の廃止は取りやめるべきだ」と強調した。

 山梨日日は今の状況で保険証を廃止すれば「大混乱が起きかねない」「政府が言う『誰一人取り残されない』状況が確認できるまでは、廃止を見合わせるべき」とした。京都は「十分な審議もせず、関連法を成立させた与党や日本維新の会など一部野党ともども無責任が過ぎる。現場で利用者と向き合う自治体などの疲弊が増すばかり」と訴えた。26年のカード刷新までは「マイナカードの一本化は凍結すべき」だとした。

 西日本も「来年秋の廃止は見送り、マイナ保険証と現行保険証を選択可能にすることを含め、再検討すべきだ」と提案した。福井は「『立ち止まって他国の失敗と成功を吟味し、丁寧にシステムを作り直せ』との声が上がるのも当然」と述べた。高知は「問題の本質は政府の性急な進め方」と指摘した。

 琉球は「無理がたたってミスが出ている」とする中核市市長会会長の言葉を紹介。保険証の廃止を含め、「白紙に戻して徹底的に議論すべき」と迫った。東奥、岐阜、上毛なども「システムに不備を抱えたまま」「自治体の現場に無理を押し付けたことが混乱の温床」だと批判。「いったん立ち止まる判断も必要」だとした。

 毎日は、ポイント付与による申請集中で「自治体や健保組合、システムの受注企業などに過大な負担がかかった」とみた。朝日はマイナ保険証について「利点はあるにせよ、現行の保険証より不便になったり、不利益を被る人が出たりするようなら本末転倒」だと指摘。「今こそ立ち止まって、考え直すべき」と論じた。

政府に信頼回復策促す

 産経は普及優先の政府方針が「混乱を広げる要因」だとした上で、「国民の不安を払拭し、マイナカードの利用を促すためには、政府は一度立ち止まってシステムを徹底的に点検し、信頼の回復に努める必要」があると主張。マイナ保険証への一本化の「実施時期は柔軟に対応すべき」と促した。

 一方、日経はマイナカードへの保険証移行を「行政デジタル化の試金石」と重視。利用の促進、拡大に向け「信頼確保と利点の周知が欠かせない」と政府に求めた。

 混乱を受け首相は陳謝したものの、その後も地方からの批判は収まらない。「混乱は底なし」とした南日本は「政府はいったん立ち止まり、制度の見直しを含め信頼回復の施策を講じるべき」と強調した。沖タイも「国民の理解と安心を置き去りに、強引に推し進めてきた」とし、「少なくとも健康保険証廃止は凍結すべき」と論じた。山陽は「新旧保険証が併用できる期間を延ばすことを検討すべき」と提案。北日本も併用期間の延長を求めた。

 世論調査でも保険証一本化の延期・撤回を求める声が多かった。「併存で何が悪いのか」(河北)、「保険証の廃止方針は延期または撤回が妥当」(岩手日報)、「まず廃止方針を白紙撤回し、制度を根本から検証し直すのが筋」(北海道)、「現状では無理」「いったん凍結すべき」(徳島)との意見がさらに広がった。

 北國は地元でのカード自主返納の動きを「制度への信頼が揺らいでいる証左」としつつ、「過渡期には、トラブルはつきもの」だと考察。「より良い制度にしていく努力」を求めた。(審査室)

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