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2025年 10月28日
永続的な平和へ懸案多数 ガザ戦闘開始2年と和平合意
日本も停戦支えるため関与を
パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まってから、10月7日で2年となった。米国のトランプ大統領が和平合意を提案し、ハマスは13日に生存するイスラエル人の人質20人全員を解放。エジプトでは欧州各国やアラブ諸国など20か国以上の首脳らが出席する和平会議が開かれた。ただ、恒久和平の実現には、ハマスの武装解除やガザの戦後統治など懸案が多く、予断を許さない。この間の各社の社説・論説を取り上げる。
和平合意について、日経は「政権2期目の外交成果となる。今回の合意は、トランプ氏が20項目の和平計画をつくり、集中的に働きかけたことが奏功した」と評価。朝日は「戦争の終わりと永続的な平和につながるのか。すべては、当事者が合意をきちんと守るかにかかっている」とくぎを刺した。
国連人権理事会の独立調査委員会(委員長・ピレイ元国連人権高等弁務官)は、ガザ地区でのイスラエルの行為をジェノサイド(大量虐殺)と認定した。さらに、国連機関などで作る「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」はガザ市と近郊で飢饉が発生していると認定した。福島民友、静岡、新潟、京都、神戸、徳島、沖タイなど多くの社が飢饉の現状に触れた。河北は「2年に及ぶ交戦は人道の限界を越えている。命を救うための政治的決断を無に帰してはならず、憎しみの連鎖を断つ道は対話を絶やさぬことだろう」と訴えた。毎日は「食料など支援物資の搬入についても進めることになった。地区を管理下に置くイスラエルには、住民に着実に届ける責任がある」と主張した。
今回の戦闘の底流に触れたのは中日・東京。2018年にイスラエルで基本法「ユダヤ人国家」が成立し、公用語からパレスチナ人が話すアラビア語を外し、ユダヤ人のヘブライ語のみとしたことなどを紹介し、「苛烈なガザ攻撃は突然起こったわけではなく、四半世紀にわたり憎悪感情がじわじわと民主主義を蝕み、『集団殺害』にまで至った構造が浮かび上がります」と指摘した。
人質解放評価も楽観せず
人質解放について、読売は「トランプ米大統領が提示した20項目からなる和平計画の『第1段階』の柱である。これにハマスが合意し、実際に行動したことで、和平の実現へ大きく前進したことは間違いない」と評価したうえで、「ただ、第1段階が順調に進んだとしても、楽観はできない。ハマスは、和平計画に盛り込まれた武装解除に難色を示している。イスラエルも、軍のガザからの完全撤退を先延ばしにしようとしている。双方の溝はなお深い」と課題を指摘した。産経は「停戦を過去2回崩壊させた双方は今回の好機を逃すべきではない」とし、ガザで人道支援が本格化していることに触れ、「中東の安定は日本の国益につながる。政府にはガザの戦後復興への貢献を求めたい」と注文した。
米国の姿勢に「看過できぬ」
米国の姿勢に懸念を示したのは信濃毎日。「ガザの統治の枠組みについてもあくまで米国側が決め、パレスチナの人々の自決権は脇に押しやられている」と指摘した。北海道も「看過できないのは、イスラエルに影響力を行使できる米国の偏った姿勢である」としたうえで、「戦後統治や停戦監視においても国連などが介在する枠組みが欠かせない」と強調した。
日本政府への注文も相次いだ。9月には英仏などパレスチナの国家承認が相次いだが、日本は見送った。西日本は「日本はパレスチナ国家承認の意思を示唆しながら、イスラエルや米国に和平実現を訴えるべきだ。停戦を求める国際社会の動きを大きなうねりにしていくのも日本の役目ではないか」と投げ掛けた。山陽は日本について「トランプ政権に配慮して国家承認を見送っている。ただ、岩屋毅外相は『(承認)するか否かではなく、いつするかの問題だ』との姿勢を示す。世界の潮流を重く受け止め、時機を逸することなく判断することが求められる」と主張した。北日本、中国、琉球も日本の積極的な関与を求めた。熊本日日は「日本はインフラ復旧を得意とするだけに、ガザ住民の生活再建を主導する役割を果たすべきだ」と提言した。
高知は「和平計画は、戦後統治にはハマスの関与は認めず、イスラエルはガザを占領、併合しないとする。平和共存に向けた対話の構築も含まれる。実現は簡単ではないが、停戦と人質解放で不信の軽減を図ることが重要だ」とする。京都は「国連の安全保障理事会が関与し、停戦管理や戦後統治を担保すべきではないか」と訴え、愛媛は「イスラエルとパレスチナが共存する『2国家解決』こそ、目指すべき到達点だ。互いの安全と権利を尊重できる枠組みづくりの実現に向け、まずは日本を含めた国際社会で協調して停戦を支えたい」と呼び掛けた。(審査室)



