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2026年 1月27日
災害復興、共生に焦点 地方紙各紙の元日付紙面

社会の分断防ぐ報道決意も

 東日本大震災から15年を迎えるに当たり、あらためて災害への備えは十分なのか。人口減や少子高齢化が加速するなか、外国人との共生のあり方は―。地方紙の元日付社説では、各地で共通するテーマが取り上げられた。大国が自ら国際秩序を崩し、国内では防衛力強化が進む一方、排外主義的な動きも広がる。地方メディアの役割についてもあらためて考えさせられた。

防災に終わりなし

 昨年暮れ、青森県八戸市を震度6強の激震が襲った。2年前の元日には能登半島地震も発生。東奥は「災害は常に有りうるという『常在有事』の意識を高め、防災に終わりはないとの心構えで常に備えを見直し続けたい」と誓った。

 東日本大震災と福島第1原発の事故は、日本国土の脆弱さを浮き彫りにした。河北は「被災者一人一人の生活再建や地域コミュニティーの再生、心の復興はいまも道半ばにある」と指摘。「震災を忘れないとは、過去に立ち止まることではない。他の災害にも関心を持ち続けることで教訓を生かし、次の被害を減らす努力を積み重ねること」だと呼び掛けた。

 復興を人口減少と関連づける内容も目立つ。福島民報は「被災地では復興の象徴となる施設や産業の芽が育ちつつある一方、県内全域で人口減少と少子化という重い課題を抱えている」と指摘。福島県誕生150年の節目にもあたることから、「次の50年、100年を見据え、若者が夢を持てる県づくりを」と結んだ。

 北國は「人口減少、過疎化の速度が急激に増す現状に、暗たんたる思いを抱く人も少なくない」と述べつつ、能登には「農業や漁業に根差した食文化の豊かさ、祭り、高度な伝統工芸の技」が集積し、「全国の農漁村から失われた里山里海の自然や風習」が今も大切に残ると紹介。仕事や趣味などで居住地以外の地域と関わる「ふるさと住民」の登録制度を国が創設する方針であることも挙げ、「劇的な人口増加が望めない現状では、関係人口を増やすことが鍵となろう」と訴えた。

 今年は、60年に一度の「丙午」でもある。佐賀は、60年前に迷信により「産み控え」が起きたのと同様にいま、子供を持つことをためらわせる「社会をしばる空気」が存在していないか、と問い掛けた。「物価高騰、仕事に追われ余裕のない毎日、紛争や対立に明け暮れる世界...。希望の見えない時代が『社会をしばる空気』にほかならない」とし、「『幸福感』を高めるには、生き方のものさしを変え、経済ばかりではない豊かさに目を向けるべきだろう」と提案した。

 人口が減るなか、各地にはたくさんの外国人が暮らし、幅広い分野でともに社会を支えている。多くの地方紙が外国人との「共生」について取り上げた。

 神戸は「国籍や文化的背景、価値観の違いを抱えた人々が、互いに安心して暮らすために何ができるだろう」とあらためて問うた。「排外主義の根底にある不公平感や社会不安の本当の要因を直視する必要がある。これまで政府は『移民政策は取らない』としながら外国人労働者の受け入れを拡大し、共生策を自治体に丸投げしてきた。場当たり的な政策の穴から目をそらし、批判の矛先を『異質なもの』に向ける空気を放置すれば、不安が消えるどころか息苦しさは増すだろう」と批判した。

 中国は、昨夏の参院選で「日本人ファースト」を掲げた参政党が伸長し、排外的な主張を批判すべきなのに同じ土俵に乗った自民党を批判。「差別をあおる言説が『票になる』と飛びつく姿に目を覆いたくなった」と厳しく指摘したうえ、「政権の振りかざす『正義』が、気に入らぬ意見を『反日』などと決めつけて攻撃する強い言葉と結びついた時、刃となって暴走する」と警戒した。

異論封じる風潮を懸念

 外国人政策を巡っては、高市政権が今月、対応策を示す。「帰化」用件や出入国管理の厳格化など、規制を強める方向だ。信濃毎日は、「郷に入っては郷に従え」と、外国人政策を巡ってよく耳にするようになったと指摘。「受け入れる側が声高に語ればどうなるか。よそ者は出て行けと言わんばかりの重苦しい空気が広がりかねない」と懸念した。気持ちよく協力し合えるようになるため、「郷」の側からこそ、知恵を絞ろうと呼び掛けた。

 「異論を大切にする社会に」との見出しで論じたのは徳島。「誰もが同じ方向を向く社会がどこへ向かうかは歴史が証明する通りである」と述べ、「交流サイト(SNS)を介し、それぞれの好む情報が届けられるため、同じ意見の人が固まりを成す傾向が強まっている」と問題視した。台湾有事発言を巡って、首相の不見識よりも質問した野党議員を非難する意見があることや、「核保有」発言ではオフレコ破りをしたメディアに矛先が向く、といった現象を例に挙げて、「異論を封じる空気が既に蔓延している証しと言えないか」と懸念した。

 「分断の波は報道機関にも及ぶ」としたのは西日本。新聞は「オールドメディア」に仕分けられ、西日本には「左寄り」のレッテルが散見される現状に触れつつ、「国策のひずみは地方の暮らしに現れやすい」「権力を監視する報道の役割を果たそうとすれば、政権に向ける目はおのずと厳しくなる」などと分析。「地域ジャーナリズムの真価はAI時代にこそ問われる」としたうえで「暮らしに寄り添う姿勢を貫く」と結んだ。

 愛媛は、「新聞・テレビは強みの信頼性に磨きをかけ、ファクトチェックなどを通じて広く訴えねばならない」「真実の報道と健全な世論の醸成に努め、社会の分断を防ぎたい」などと誓った。

 戦後80年の節目の1年は終わったものの、国際情勢を踏まえ、あらためて平和を訴える主張も目立った。神奈川は、「曲がりなりにも戦後世界の安定に寄与してきた秩序は、トランプ氏の唱える『常識の革命』によってもろくも崩壊してしまった」と指摘。日本でも「防衛費は積み上げられ、非核三原則の見直しもあからさまに語られ始めている」とし、「『平和』『反戦』といった言葉が時代遅れのように扱われる風潮は、やはり危ういと言わざるを得ない。内外の環境変化にうろたえるあまり、大切なものを見失おうとしてはいまいか」と訴えた。

 琉球は、自衛隊の南西シフトが拡大している現状をあらためて問題視。「軍拡を進める形での均衡は破滅につながる」「肥大化する自衛隊の在り方について、いま一度立ち止まって見直す議論が必要だ」と主張した。「戦後」がこの先90年、100年と永遠に続くよう願った。

 明るい話題も紹介したい。山形が選んだ県内の2025年の十大ニュースの1位は「クマ目撃や人的被害が過去最多」、2位は「県内人口100万人割れ」だったが、昨年の秋以降、励みになるニュースも相次いだとした。米誌「ナショナルジオグラフィック」は「2026年に行くべき世界の旅行先25選」に山形県を選び、ジャパンタイも「世界への発信に値する訪問先」の自治体第1号に山形市を選んだ。「前提となるのは、山形に住んでいる私たちが地元の魅力を再認識し、これからも大切にしていこうと思う心だ」としたうえで、「国内外で分断が叫ばれる時代だからこそ、山形ならではの多彩な魅力とつながりを改めて実感し、発信していきたい」と結んだ。

ニュース20紙、企画・連載51紙

 【1面トップ】20紙がニュース、32紙が企画、19紙が連載でスタートした。ニュースと連載の主な見出しを拾う。

 《ニュース》河北「東北楽天2軍拠点移転へ 30年代前半完了目標」、下野「『メディア芸術祭』新設 27年度に県 作品発表、交流の場に」、静岡「スタジアム新設『有力』 静岡市近く表明 土地購入に数十億円」、北國「兼六園県有化へ 県が構想策定 産学官連携で議論」、熊本日日「菊陽に半導体ミュージアム 産学官連携整備計画 人材育成と先端技術紹介」

 《1面連載》東奥「異変の海 岐路に立つ陸奥湾漁業」、山形「街なかにクマがいる」、福島民友「震災15年 復興の道筋」、茨城「防災いばらき 未来へつなぐ 3・11震災15年」、神奈川「やまゆり園事件10年」、北日本「令和米騒動 農のあした」、宮崎日日「気候危機(クライシス)」(審査室)

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