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2026年 3月10日
数に物言わせる政治にくぎ 衆院選で自民大勝

消費税減税巡り主張割れる

 高市早苗首相(自民党総裁)率いる自民党が2月8日投開票の衆院選で、単独で3分の2を上回る316議席を獲得した。戦後最も短い超短期決戦となった中、高市氏は、高い内閣支持率を背景に、幅広い支持を集めた。各紙の社説・論説は、政策課題の着実な遂行を期待する声があった一方、多くが、今回の選挙結果は「白紙委任」を意味するわけではないとして数に物を言わせる強引な政治を行わないよう求めた。

成長戦略など前進に期待

 北國は、「有権者は『決められない政治』を変えてくれそうな首相の手腕と馬力に期待したのだろう。ひたむきで、明るい人柄も幅広い世代にアピールした」と勝因を分析したうえで、「国民の信任を得た今こそ、安倍(晋三)氏が成しえなかった国民生活の向上に取り組む時だ」と訴えた。日刊工業も、「政権基盤の安定が政策推進力を高め、成長戦略などの重要施策が前に進むと期待したい」とエールを送った。

 高市氏の今後の政権運営や国会対応には注文が相次いだ。北海道は、「数に任せて独走すれば分断を深め、国の将来も危うくしかねない。全てを委任されたわけではないことを肝に命じるべきだ。おごりは許されない」とくぎを刺した。中日・東京は、「独断専行を排し、国民的合意に基づく政権運営を求める」とした。

 岩手日報は、「派閥裏金事件で国民に見放されかけた自民は、首相個人の人気によって盛り返しただけだ。『安倍1強』時代のようなおごりを見せては、たちまち失望を招くだろう」と論じた。河北も、「自民『1強』が続いた時代には国の進路を大きく転換させる政策決定が相次ぎ、森友・加計学園問題といった政治の透明性を揺るがす疑念も生じた。権力の集中がもたらす影の部分を忘れてはなるまい」と強調した。

政策語らぬ首相に非難も

 また、高市氏が選挙中、政策の中身にほとんど踏み込まなかったことへの批判なども数多く出た。神奈川は、「看過できないのは『国論を二分するような大胆な政策や改革』と本人が掲げたにもかかわらず、選挙中にその詳細が語られなかったことだ」と指摘した。西日本も、「信を問うた国民に対し、肝心なことを語らない首相の姿勢は非難に値する」と断じた。

 山陽も同様に、「安全保障関連3文書の前倒し改定、スパイ防止法の制定、外国人政策の強化など、高市首相が意欲を示し、国民の賛否が分かれそうな政策課題はいくつもある。だが、国論を二分するような政策にどう取り組むのか、選挙戦を通じて十分な説明はなされなかった。与党勝利の結果だけをもって、個々の政策への信を得たとは決して言えまい」とした。

 さらに、「責任ある積極財政」といった高市氏が掲げる政策などへの懸念も少なくなかった。毎日は、「明確な財源の裏付けのない歳出拡大は、将来にツケを回し、市場の信認も失う恐れが拭えない」と主張した。福島民友も、「『強く豊かに』との思いが前のめりになり、有無を言わさず政策を実行するのは危うい」と指摘した。

 琉球は、「高市首相が真っ先にやるべきことは『台湾有事は存立危機事態』という自身の国会答弁が招いた日中関係悪化への対処だ」とした。

 高市氏が「悲願」とした食料品の消費税2年間ゼロについては、主張が割れた。産経は、「国民との約束は、政権の信頼にかかわる」と実施を促し、「減税と現金給付を組み合わせた給付付き税額控除の検討も急ぐべきである」と訴えた。佐賀も、「選挙のための口約束だったと不信を招かぬよう、履行する責任は重大さを増した」とした。 

 日経は、「社会保障の安定財源に年間で5兆円の穴があくが、確保策は見えない。消費税減税がいま必要なのだろうか」と疑問を呈した。読売は、「基幹財源である消費税を維持するのは当然である」と消費税減税に異を唱えた。

 立憲民主、公明両党が選挙直前に合流し誕生した中道改革連合は、惨敗。徳島は、「立憲民主党が掲げてきた脱原発などを引っ込めたことが、選挙目当ての『野合』と映ったことは否定できない」とした。朝日も、「従来の支持層を糾合できず、高市政権に代わる選択肢として、無党派層の期待を集めることもできなかった」と分析した。

 ただ、高市政権や巨大与党をチェックする野党の存在は、これまで以上に重要になる。南日本は、「共生と包摂の政治への転換を目指す『生活者ファースト』を掲げ、企業・団体献金の規制強化を強調する姿勢は、政策理念的に自民、(日本)維新(の会)との対抗軸に十分なり得るものだ」とした。そのうえで、「中道が存在意義を認めてもらうには、党内で基本政策について徹底的に議論し、明確な方針を打ち出さなければならない」と論じた。(審査室)

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