9月 6日付 逆転の発想で成長の芽を探る

北海道「大地と海から―挑戦 逆手にとれ、地球温暖化」

 温暖化には思わぬ恩恵もある。北海道でなじみの薄かった作物や魚がとれるようになった。8月10日付から13日付まで4回連載で、サツマイモ、ブドウ栽培とワイン醸造、高温に強く食味評価の高いコメ、好調なブリ漁に取り組む生産者を追った。温暖化に伴う新たな作物の栽培や魚介の加工に挑む動きを紹介することで「産業界への刺激になればと考えた」と連載を統括した升田一憲経済部次長は語る。

 取り上げた品目の中でも、サツマイモは南国の作物というイメージが強い。2014年の道内生産量は約160トンとわずかながら、農家は収入が見込める新たな作物として期待を寄せる。岩見沢市の農家は、生産した全量を大学いも、けんちん汁など学校給食用に卸している。加工業者に働き掛けて販路を拡大し「ぜひ岩見沢を産地にしたい」と意気込む。将来、北海道の主力作物になるかもしれない。

 取材に当たった経済部の本庄彩芳記者は今春、北斗市の道南農業試験場が開催した「道南さつまいもフォーラム」の取材で、北海道のサツマイモ栽培という意外な取り合わせに関心を持った。農家の高齢化、作付面積の減少、環太平洋連携協定(TPP)など北海道の農業にとって厳しい状況が続く中、「道内の農業者、漁業者が温暖化を逆手にとり、前向きに取り組む姿を紙面で発信したいと考えた」と話す。

 取材先の銀行関係者からは「農漁業関連の顧客を訪ねるとこの連載が話題になった」と感想が寄せられた。温暖化と農業、漁業の関わりが再認識できたとの反響もあった。

 今や道内の農産物直売所で、オクラや落花生、ゴーヤーなど高温を好む作物を見かけることも珍しくなくなった。今回取り上げられなかった品目についても、常に新しい動きを追いかけ、北海道を元気づけたいという。(有)

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